オレたちはひょうきん族でいいとも


 朝からクオシモードさんのニュー・アルバム『Magic Ensemble』サンプル。AFRAさんもHanaHちゃんも畠山美由紀さんもタブゾンビさんも菊地成孔さんもこだま和文さんも参加した魔法のアンサンブル。踊れます。HanaH曲は、吉田美奈子さんをも彷彿とさせるジャジーなお洒落アーバン・ソング。グッジョブ。

Magic Ensemble(初回限定盤)(DVD付)

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 ワタシがフリーランスになりたての26歳の頃。1986年ぐらい。調子に乗って、いや乗せられて「11PM」に出たことがある。あれ? 「EXテレビ」だったかな。とにかく日テレの深夜。もちろん麹町。川勝さんとかえのきどさんとかいとうさんとか宮沢さんとか一緒だったような……ないような(記憶が薄毛化)。


 何かの特集で、そんな風な出演者で川柳を詠むといった企画で、ワタシがその部分だけ司会のようなものを務めたのである。生放送で。務めたって言っても26歳ぐらいのワカゾーのシロートである。ただの陽気な編集者だ。上手いわけがない。今考えるととてつもなく怖ろしい話ですけど、調子に乗っているので引き受けたりしていたのである。


 その生オンエアが終わって数日後、何かの取材か打合せでフジテレビに行ったのだ。もちろんまだ河田町。廊下で偶然に横澤さんとすれ違った。ワタシは景山民夫さんの担当編集者であり、高田文夫先生の記事なんかも担当していて、横澤さんの取材もしたことがあったので、「どうも、宝島の(辞めてるけど仕事はしてたので)ワタナベです」とかなんとか挨拶したのである。すると、横澤さんが「ああ、ユウ君、見たよこないだのイレブン」とおっしゃる。ありゃ、それは決まりが悪いなあ、しかも名前間違って覚えられてるし(笑)……と思っていたところに横澤さんはこう続けた。


「ユウ君ね、特に司会役をやるときには、大事なことを言うときに照れながら言っちゃだめだよ。思い切って言わないとテレビでは伝わらないから」


 は、はい! わかりました! ありがとうございます!……と言ってお辞儀をしたのを覚えている。他局の番組に出たシロート同然の若者の悪いところをしっかり覚えていて、廊下で出逢った、その刹那にダメ出しをされた。時間にも言葉にも無駄がなかった。すごいテレビマンだと思った。


 その時は、フリー編集業の駆け出しだったので、「いやまあ、しゃべりでダメ出しされても」と思ったかもしれない。だが、横澤さんにはそんなことは関係ないのだ。テレビに出ていれば、ましてや司会をしていればテレビの人なのだ。他局の番組のことでもだ。わけへだてがない。今でもしゃべったりしていることの「どこか一部」はこの体験につながっている。


 ワタシの横澤プロデューサーの思い出であります。まあ、横澤さんが気になって仕方がないぐらいに下手だったんだろうね(笑)。


 それまでロンドンやロスのパンクやニューウェイヴ、ニッポンのロックやテクノのことしか載っていなかった「月刊 宝島」の編集部で「タスクはどんなページが作りたいの?」と編集長に聞かれて、即答で「ビートたけしロングインタヴューです!」と答えたバカなアルバイト一名を育てたのは、「THE MANZAI」と「ひょうきん族」と「笑ってる場合ですよ!」(と「いいとも」)です。つまり横澤彪さんです。さらには、もちろんそこに関わっていたひょうきんディレクターと高平哲郎さんと高田文夫さんと(以下省略)です。


 ありがとうございました。