俺の、俺の話を聴けええええええ
ジャケ弁!
それはある立呑み串カツ店でのことである。入り口は全面開放型の路面店。ワタシはその入り口(って言っても開けっ放し)付近のカウンターに陣取って、串カツを野菜中心にセレクトしてホッピーでパイイチ呑っていたわけである。野菜中心って、それカツじゃなくなくない、という説もある。いいんです、串揚げは野菜がうまい。
そこにおじさんがやってきた。白いシャツのフツーのおじさんなんだがフツーじゃない。まず、おじさんはお店の敷居をまたぐかまたがないかの内に、つまりカウンターまであと2メートルぐらい手前からこう言いながら入ってらっしゃった。
「ウーロンハイとか、そういうの!」
高らかにこの名セリフを吐きながらステップも華麗にワタシの隣に開いていた50センチぐらいのカウンターのスキマにドーン。……って本当にぶつかったのである。店の入り口で「ウーハイ」を宣言したのがフライングならば、着地も失敗。どんな幅跳びだ。「入り口」と「カウンター」までの距離感が間違ってますよ〜。
そして、これがまた、そのポジションが揚げ方のジャスト目の前。串にコロモを付けては次々に油に入れている揚げ方(店長?)がひとこと。
「いらっしゃいませ!」
順序違うだろ(笑)。
しかもですね、このおじさん、ぐっと店長(?)を見据えてこうおっしゃった。
「焼き鳥とか、そういうの1本!」
だから串カツ屋だってば。しかも「1本宣言」(笑)。
そこからは、延々「オレはさあ……」と、揚げ方に話しかけるおじさんなのである。ずーっと話してるのよ、勝手に。主な話題は「オレは九州の男だから」であります。ずーっとオノレの出自と、そえに伴うアイデンティティを語り続けるのであります。ニコニコしながら受け流す店長(?)をマトに。
酔っ払いで、そして孤独だったなあ、おじさん。