箱根住み込み時代


 昨日の続きですが。
 ワタシは30年ほど前(げげ!)に箱根宮ノ下の超老舗旅館[奈良屋]さんで1カ月住み込みのバイトをしたことがあるのである。江戸時代から続いた豪奢な旅館。15,000坪の敷地に美しい庭園が広がり、その中に日本家屋の離れが建ち並んでおりました。朝早く起きて玄関掃除、配膳サポート、皿洗い、また掃除、冷蔵庫補充、ご到着のお客さんの荷物運び、おかもちで夕食配膳、皿洗い、従業員用の風呂に入浴、部屋でビール(つまみはお客さん用夕食の残り物)、または若旦那(当時)と一杯……といったアルバイトを30日間。バイト代は終わるまでもらえませんでしたが、なにせお金持ち(&外国人)のお客さんが多かったので、チップでけっこうな実入りあり。そのお小遣いで[富士屋ホテル]のパン屋さんでパン買ってた。あ、あと町内に一軒しかないような本屋さんで「ガロ」買ったり(笑)。
 その青春の思い出(泣笑)である[奈良屋]さんは、相続税の問題などで2001年に閉館。現在は、一部跡地に[NARAYA CAFE]ができております。


 あんな素敵な場所が、もうない。登録有形文化財だからといって文化庁さえ守ってくれないのである。どこが美しい国やねん。あ、2001年にはそんなこと言ってないのか。
 「有形文化財」には「無形の文化の跡」が染みこんでいるということが大事なのに。壊せば「無形の何か」まで壊すのになあ。
 [福住楼]には、そういう意味で残って欲しいんですがねえ。泊まるとなると、そう言っているワタシですらイマドキの旅館を選びそうだから困ったものなのである。


 写真を撮る、ということをしなかったので、そのバイトの時の、ワタシが[奈良屋]さんで働いている写真がない。こうして無くなった今となっては、つくづく残念である。


【奈良屋のこと:参考資料いろいろ】
http://www.naraya-cafe.com/j/welcome.html
http://www.yurindo.co.jp/yurin/back/405_4.html
http://www.bs-i.co.jp/app/program_details/index/KDT0601600


 へえ、番組やったんだ。誰か録ってないかな、これ。



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