赤信号は怖いか怖くないか
ツービートのわッ毒ガスだ―ただ今、バカウケの本 (1980年) (ワニの本―ベストセラーシリーズ)
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 1980/06
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ビート先輩に「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という名台詞がございます。
文章、言葉というのは、解釈によって意味が変わってくる。これも「赤信号でも、そこにいる全員で渡っちゃえば怖くないんですから、赤信号、みんなで渡れば怖くない!」「よしなさいっての」(きよしさん)という文字通りのブラックな毒ガスギャグだったわけですね、当時としては。テレビでそういうこと言うと叱られたという70年代末の話。「自分は大丈夫だという甘えた考え」「誰かと一緒じゃないと何も出来ない」「大勢集まると何が起こるかわからない」という日本人ないしは人間の集団心理への達観をキモに据えての、ビート先輩ならではのネタだったかと。「赤信号」をもっと犯罪的な、例えば「万引き」「いじめ」に置き換えてみるとさらにドロっとした毒が出ちゃうもの。
さて。この「赤信号」ですが、漫才での文脈を離れて「今の目」で見ると、こう読むこともできるのではないですかね。
「状況は赤信号だし、とても怖いことではあるけれど、そこをみんなで踏ん張れば、知恵を出せば、なんとか渡れるかもしれないぞ、赤信号、みんなで渡れば怖くない」。
文章や表現は、受け取る側の「受け取りたいように」受け取られることが多いのであります。そういう「性質がある」こともあるし、受け取る(解釈する)ことも自由だということでもありますな。それが芸術であれば、そこまでを受け止めて(ないしは受け止めなくて)ナンボですが、メディアとエンタテインメントは、そこの空気を読んで「伝達可能な技術」は持つべきだと思う。
もし、同じ写真を使っても、表紙に「放射能がくる」ではなくて「放射能を止めろ」と書いてあったら、どうだったかしらん、と思うのである。
そういえば、岡本太郎さんの生誕100周年も、どこかにすっ飛んで行ってしまいました。「芸術は爆発だ!」。いやーん、TARO、不謹慎よ(泣笑)。