ふと目を上げておっさんを見る


 「不良中年」は楽しい (講談社文庫)


 ワタシは最近、おじさん(とおばさん)のことをよく見るようになったのである。観察する、とまではいかないけれど、電車などでちょっと暇があって、ぼおっとしていときなんぞに、40代ぐらいから同い年、そして先輩年配の方々までを見るともなく見ていることが増えてきた。飲み屋でもそう。おじさん(やおばさん)の風体、風情になんとなく目が行くのである。


 思い起こせばですね、20代の頃なんぞは、おじさんのことを見てもいなかった。物理的には見えているんだけど、見てない。わかりますね。じゃあ、誰を見ていたかと言えば、同世代の女性、次に年齢層をやや広げた女性(やや?:笑)、そして同世代の男性。以上である。他は見えてなかった気がする。たまに飲み屋やジャズ喫茶などで、先輩に説教されたりもしましたけれど、じゃあ、その人がどんな服を着て、どんな靴を履いて、どんなメガネをかけているか、といった「観察」はしていなかったのであります。ま、してもなあ、とカラダが感じていたとでも言いますか。


 ところが、この歳になってみると、40代ぐらいから上の、特に男の人に目が行く。しかも、けっこうちゃんと見てみたりする。ああ、そのスーツ、サイズが合ってない上にそうとう草臥れてんなあ……でも、靴はちょっと高そうかな?……いや、合皮か……で、鞄だけPORTERなのは、どうなのよーん……といった調子にです。読んでる本、携帯で何かいじってる画面なども、見えるときはチェック。え? ドラクエ


 おわかりの通り、おじさんが好きなわけではないんですよ。ニッポンのおじさんはダサいなあと思うことしきりですよ。ダメ出ししたいですよ、自分のことは棚に上げて。でもね、何故か見てる。すぐ隣に女子高校生がいても、あんまり見ない。あんまり?


 そのおじさんがどんだけの人間なのか、娘とかいるのか、どうしてその草臥れたスーツになったのか、ドラクエ楽しいのか、PORTERどこで買ったのか、どこへ帰るのか、どこへ行くのか……といった「ヒストリー&ストーリー」を軽く妄想していたりもする。どうやらそんな「かっこよくないフツーの同時代」の有り様に惹かれているようなのである。そこに「かっこよくないけどフツーの個人」がいるのかどうか、確かめているのかもしれない。


 先日、ワタシはそろそろ立川志らくさんを聴いてみようかと思う、といったことを書きましたが、どうもね、そこらへんの流れの具合と、この流れの具合は近いものがあるような気がするのであります。人間も、しばらく放っておくと「発酵」するのではないか、というような意味です。趣味嗜好も発酵。人への興味も発酵。わかりにくいとは思いますが。


 体内で「おじさんを見る菌」が発酵してます五十一歳師走三日。たぶんガスが出てます。臭いよ。

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