追悼には不適切な文章


 ザ・ウェイ・アイ・シー・イット


 おとついラファエル・サディークのステージを見たと思ったら、昨日、J-WAVEラファエル・サディーク@MODAISTA。「マイケルは、ブラック・ミュージックをよく研究していたし、音楽の知識が豊富だった」というニュアンスの発言に賛同感銘。いいこと言うねラファエル。夜はSCOOBIE DO@恵比寿[LIQUID ROOM]。超満員パンパン汗臭い。ファンキー4+ONE MORE。元気だ。メンバーもお客さんも。すばらしきライヴ。みんなも行った方がいいですよ、今度は。そして今日はトーク・イベント「魂週末」という3連チャンファンキー・ウィークエンド。うわもう行かねば。CD積まねば。


 でまあ、追悼にもなんにもなりゃしませんが、ワタシが2002年にBMR誌に書いた「マイケル文」がありましたので駄文再録。駄文道が極まったかのような駄文です。あはは。だっぶんだ。脱糞じゃないですよ。

渡辺祐駄文蔵出し「ねずみ穴はやったんべえな」】


  だいたいね、このBMR誌をお読みのヤング諸君なんかは、どう思ってるんですかねぇ、マイケル・ジャクソンのこと。先年、ジャクソン5の日本人DJによる名リミックス集が売れたりしたことを思えば、ま、ジャクソン5は「(音源として)よしとする」ってところですか。じゃあ、本人に対しては、リスペクトとか、あるのか?どうなの? どうなんだ! アウッ!

 いや普通、こういう原稿だと書きにくいんですけどね、例えば飲み屋のバカ話としてマイケル・ジャクソンさんを肴にしてる時にですよ、皆さんの脳味噌の中にですね、そこはかとなくと言うかそりゃもうくっきりハッキリと言うか、「あいつ、気持ち悪くない?」っていう思いがよぎってませんか。よぎってないのか?どうなの? どうなのよ! アウッ!

 想像するに、よぎってると思うわけですよ、原稿には書きにくいんですけどね(書いてるっての)。

 確かにこの10年、お猿連れだったり、結婚に関してあーでもないこーでもないと言ってたり、変装して布教活動の戸別訪問してたり(マジかよ!)、特に1993年に少年に対する性的虐待の嫌疑をかけられて以降、マスコミに対して距離を置いちゃって神秘のベール(表現が古いね)に包まれたりしてるマイコーしか知らない世代が、どうしても「奇人」扱いしちゃう気持ちもうなづけなくもない。さあ、「TVジョッキー」の奇人変人コーナー、次の挑戦者はインディアナ州ゲイリー出身のジャクソンさんです。うわあ、後ろ向きに歩いてる! しかも片手だけ手袋! ズボンを微妙にめくってる! サングラスがでかくてずり落ちそうです! え? 43歳? 司会の土井まさるから白いギターをプレゼント!アシスタントは相本久美子! 古くは児島みゆきに鶴間エリ……シェリーもいたか? ぜんぜん関係ないけど、その後、たけしさんの司会に変わって「スーパージョッキー」になった時って、よくスーパーモンキーズ出てたよねぇ。あの時の安室ちゃんはキョーレツに印象にあるなぁ。恋のキュートビート? あ、あと、杉本彩(と全裸の井手らっきょう)ね。

 マイケルである。そんな世間の風評を踏まえつつですね、ここでワタシは考えてみたわけよ。なにしろワタシはマイコーと同世代である。彼の方がひとつお兄さん。つまり、もしワタシがジャクソン兄弟の一員であったなら、マイケルとジャネットの間に位置することになる。正確にはマイケル→タスク→ランディ→ジャネットの順ですか。ジャーメイン脱退後のジャクソンズの補強メンバーはオレだったわけね、ランディには悪いけど。しかも、ジャネットの兄ということは、一時はジェームス・デバージの義理の兄でもあったわけだなオレは。ジェームスは今でもオレのことをお兄さんと呼んでくれるであろうか……。

 話がそれた。ナーハシレーソーだ。そこでワタシは考えたのである。マイケル・ジャクソンを人生の一年先輩という位置づけにしてみるとですね、実は人並み外れた猛烈な人生を生きている「面白いおっさん」なのではないか、と。その「面白いおっさん」という隠しアイコンを見えなくしているのは、すべてあのヴィジュアルなんじゃないか、と。そう、マイケルさんというお方は、良くも悪くもあのヴィジュアルによるイリュージョンの人、なんじゃないか、と。

 じゃあ、ここからマイケルのヴィジュアルを思い浮かべずに読んでみよう! ナレーションは滝口順平

『昭和33年8月29日、アメリカの片田舎で生まれた黒人男性、マイケル・ジャクソンさんは、小さい頃からジェームス・ブラウンやジャッキー・ウィルソンの物真似が得意なおしゃまさん。おやおや、踊りも上手だったんですねぇ。ご兄弟とバンドを結成してデビューするや国内はもちろん遠くアジアでも大人気。その後はソロ歌手としてもヒットを飛ばして世界のトップスターに。現在は悠々自適の生活をしながら、日曜日には信仰する宗教の布教にいそしんでいらっしゃいます。お子さんは二人いますが、奥様とは離婚。趣味は動物を飼うこととチャリティ活動、そんな43歳なのです』

 ほら、なんだか、「歌手で一世を風靡しながら、今はアメリカの田舎町で中古車販売王をやってる人」の人生ぐらいに思えてくるぞ(笑)。

 あのヴィジュアル、あの態度、おまけに小さい声……といったイリュージョンに幻惑された我々に見えないところに、そこに中年マイケルがいるはずなのである。どこがいけないんでしょうかねぇ、まっとうな中年に見てもらえないっていうのは。太らない&ハゲないっていうのも大きいね。シワとかとっちゃってるだろうしなぁ。どうだろうねぇ、歯槽膿漏とか。歯はね、隙間できちゃってね。メシ喰った後につま楊枝使わないとなんないわけよ。あとあれだ、汗かく。頭の後ろにね、かくようになってくるんだなぁ、これが。ちょっと体臭も変わります、40歳ぐらいから。

 一歳年上のイリュージョン先輩。マイケル。ワタシはこうしてあなたの「おっさん化」に注目しております。以前にも書いたかもしれませんが、1958年(昭和33年)生まれって、プリンスとか原辰徳とかみうらじゅんとかでしょ……濃くないか、戌年


(初出:2002年BLACK MUSIC REVIEW たぶん8月号)


 ……といったワタシの駄発想を超越して、おっさん化することなく、スターはスターのまま逝ったのでありました。すんずれしました。昨日、恵比寿[BAR BAR Ali-Ollie!!!!]で20曲ぐらいマイケル聴いたけど、どの時代にもスキがない。全時代かっこいい。有り得ないです。特に「JACKSONS」時代の音源、久々に聴きましたが、すんごいいいのよ。オレはいないけど。




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