しょぼ雨日曜、新宿喫煙、小泉今日子

代替文


 小泉今日子さんの『Nice Middle』(11月26日リリース)のサンプルを聴いてみました。彼女の決して巧くはないのになんだか切ねえ、あのヴォーカルが、しゅっと耳に染みてくる。秋雨に小泉。激しくないのにドキドキするのは、やっぱり好きだからかも(笑)。


 Nice Middle(初回限定盤)(DVD付)


 新宿に行ったのである。雨が降ったりして薄ら寒いというのにねえ。特に目的はないのでぶらっとして、[アカシア]行こうかどうか迷った挙げ句に[紀伊國屋書店]さんの地下の[JIN JIN]でナポリタン食べたりして。学生かキミは。少し反省したので、大人っぽいこともしようと[伊勢丹]へ。まあここも生まれる前から来ているわけだから、子供の頃からのなじみという意味では大人っぽくないんですけどね。

伊勢丹](本館)の風情は、その幼い頃から好きなのだが、ひとつだけ困ったことがある。さすがに建物が古いのでトイレが狭いのだ。特に本館は女性客向けとあって男性用はごく狭い。和式は内側(トイレ側)にドアが開くが、洋式は便器(後から設置)が邪魔して外にしかドアが開かない。ヘタすると小用を足している御仁の背中をドアで強打しかねないのである。昔はトイレってこんな扱いだったんだよなあ。ここにも47年ぐらいは世話になってるんだけどなあ(オムツが取れてからです)。かろうじて洋式にはウォッシュレットが導入されていたのは21便器、じゃない、21世紀でした。

 ふと思ったのだが、和式用のウォッシュレットというのは発明されていないのだろうか。


 屋上にも上ってみたのだ。[伊勢丹]のである。もちろんここも49年前から知っているのだが、ここ20数年、上ったことはなかったのである。そしたらなんと、そこは「お庭」でした。芝生、草花、植木が手入れされたお庭が広がっているのだ。しかも誰もいない。正確には数人しか人がいない。まあ、雨がしょぼ降る11月の薄寒い午後に屋上に上がる人はいないのだろうけれど、人のいない空が広いお庭というのも、なかなか風情があって佳き時間でした。


 その屋上に喫煙コーナーがあって、そこに行ってみたところ、初老の先輩2名が談笑しながら煙草を吸っていらっしゃる。スラックスにツイードのジャケット(やや年季入ってる)をお召しのような、ホントにフツーのナイスミドルである。聞くともなしに話を聞いてみれば、「煙草はやめられませんか?」とか「酒量が減りましたね、最近」といった“ならでは”のトーク。おひとりが「最近は家では焼酎。お湯が8で焼酎2ぐらいで」と言えば、もうおひとりが「薄いんですねえ。それでは味気なくないですか」「いやもう慣れましたが、女房が風呂に入っている間に濃くしたりして(笑)」といった調子。

 それを肴に一服していたワタシが、二服にしようかどうしようか、ちょっと迷ったその頃合い。「そろそろ行かないと」とひとりの先輩が言うと、もうひとりが「ああ、そうですか」「では、失礼します」……と、片方のツイード先輩(やや年季入り)はお帰りになっちゃっちゃったのである。

 え? 友だちとか知り合いとか、つまりツレじゃないのか? 喫煙コーナーで出逢っただけの人だったのか? 焼酎が薄いだの濃いだの女房の風呂だのって言っておきながら?


 煙草はコミュニケーションであります。時として。


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