筑紫哲也さんとは落語会の一服仲間


 でした。面識はないのでご挨拶をしたことはありませんが、喫煙所でよく「仲入り煙草」を嗜んでいるお姿を拝見しておりました。合掌。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081107-00000583-san-soci


 新明解漢和辞典


 そのおじさんは途中の急行停車駅で乗ってきたのである。ワタシは始発駅から乗車するので座れることが多い。ましてや午前もやや遅い時間ともなれば走り出したばかりの車内には空席も残っていて、ワタシのちょうど目の前の、その席も秋の陽射しを受けながらすっぽりと空いていたのである。おじさんはスーツを着ている。普通の小綺麗なスーツ姿で、ちょっと顔をしかめて乗ってきて、その席にどっかりと腰を下ろした。
 渋面というほどではないにせよ、苦虫の端っこあたりを噛んだような、あえてヨイショをしてみれば苦み走った顔である。ヨイショの必要があるかどうかわからないし、あんまり午前中の電車に乗りこんでくるのに相応しい顔ではない。まあ、それは余計なお世話だ。問題はだ、その苦虫おじさんの持ち物なのである。風体はビジネスマンなのだがバッグがない。そういう人もいる。ワタシはそういう人を手ぶらマンと呼んでいる。彼もまた手ぶらマンかと思いきや、手に「漢字辞典」を持っているのである。「漢和辞典」とも言うか。とにかく辞書だ。電子、ではない。本のカタチをした辞書である。しかも箱もカヴァーもない。緑色のヴィニールの、エンボスで辞書の名前が刻印されているような、あの表紙を剥き出しにして、じかに辞書だけを握りしめて電車に乗ってきたのである。
 そのどこが問題なのかと問われると答えに窮するところだが……いや、やっぱりちょっとそれはどうだろうか。ハダカの漢字辞典を持ったサラリーマン。しかもだ、電車が発車するやいなや、おじさんはその辞書をガン読みし始めたのである。しおりが挟んであったのであろうポジションをすかさずガバと開いて、眉間にしわを寄せた苦虫噛みしたような表情で。ハダカの漢字辞典を電車内で読むサラリーマンだ。ワタシはもはや目が離せなくなってしまった。まずい。おじさんに悟られないように観察を続けなくてはいけないのである。
 数分後、おじさんはメモ帳を取り出した。ついでに老眼鏡も取り出した。スーツのポケットから次は何が出てくるのかワクワクするようなしないような瞬間である。おじさんは何かメモを取っている。辞書を台にしてメモを取ってはまた辞書ガン読みに戻る。ちょっと必死と言っていいような雰囲気なのだ。いったい何事なんだろうか。もしかしたらこの方は辞書の編集者なのだろうか。あ、大学の先生とか。いや、ただの漢字マニアという可能性も捨てきれない。もしかして漢字検定
 しばらくすると、だんだん車内が混んできて、ワタシの前にもそのおじさんの前にも人が立ち始め、もう観察はできなくなってしまった。なのでワタシは観察の対象を、とりあえず視界に入っている、というか目の前に立っている女子大生(仮)の携帯電話の、妙にじゃらじゃらしたストラップの束に移してみて、すぐに飽きて、寝た。うつらうつらしながら浮かんできたのは「あのおじさんは、漢字検定の問題を出す人なのではないか」というぼおっとした考えだった。
 渋谷駅に着いて、どおっと人が降りたら、もうおじさんもハダカの漢字辞典も乗っていなかった。
 まあ、それだけのお話です。

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 与太を言うのも役割なので(笑)、お約束で言っておけば、今週は「テツヤ」のウィークなのである。ニュースで偶然名前が重なることって、今までもあったしねえ。



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