発酵!無限ループ族の夜
【赤塚不二夫さん葬儀 タモリさんの弔辞全文】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080807-00000908-san-soci
よっこいしょっと(なんだそれは)、まずは吉岡正晴さんにこんなにホメてもらいました(笑)。
【吉岡正晴のソウル・サーチン】
http://blog.soulsearchin.com/archives/002632.htmlうひょひょひょ、酔っているところを描写(ちょっと誇大な部分もあるけど:笑)されると恥んずかしいわあ。
昨日忙中閑あり。10時間ぐらい空いた、ま、締切が微妙な原稿もあるにはあるが(笑)。こういう日はね、自分探しだ(笑)。いつもやってそうでやってないことをするのだ。それでいいのだ。
思い立って、神田神保町へ。まずは[いもや]さんで天丼。550円。夏の天丼。烏賊がでかい。タレの醤油がいいんだと思う、ここん店は。余談だが烏賊には「開眼類」(スルメ、アカなど)というのと「閉眼類」(ヤリ、ケンサキ、アオリなど)というのがいるのである。目を閉じて黙考したり何かに開眼したりしているのかイカのやつ。
その足でミステリ(&SF)古書店[富士鷹屋]さんにそろり。この「そろり」という感じは行ったことのある人じゃないとわかりにくいとは思いますが、静かなのだ、店が。早川書房のハヤカワ・ポケット・ミステリ(通称ポケミス)の棚で30分を費やす。若いナンバーのをちょびっと蒐集中。短編オムニバス『名探偵登場6』(通巻ナンバー255番)とレイモンド・チャンドラー『湖中の女』(503番)、他に小鷹信光さんが編んだ美酒ミステリのアンソロジー『冷えたギムレットのように』など数冊購入。
神保町をぶらぶら歩き。[さぼうる]なんぞ横目で眺めながら、やはりミステリ(&SF)古書店[羊頭書房]さんにちょろり。やはりポケミスの棚を眺めていたら、なんと、あなた、「穴映画好き」であるワタシのココロのベストテンの中でも最高峰を誇るジャック・ベッケル監督『穴(Le Trou)』の原作発見。ジョセ・ジョバンニ『穴』(通巻ナンバー1104番)。TOUCH & BUY。調子に乗ってディクスン・カーの『蝋人形館の殺人』(通巻ナンバー166番)も買っちゃった。いやっほう。
穴映画好き、の件に関しては、ここにも書いたことがあるような。『穴』しかり『大脱走』しかり『ショーシャンクの空に』しかり、とにかく「穴を掘る」映画が好きなのである。っていうか脱走好きなんじゃん(笑)。でもトンネルやマンホールのシーンも大好き。何かありますね、深層心理に。
【この日に書いてました、穴問題】
http://d.hatena.ne.jp/dothemonkey/20070616
落ち着きを取り戻そうと[かんだ やぶそば]でせいろ。せいろ〜いちま〜い。
(烏賊、じゃない、以下、神奈川放浪編へと続く)
さてと、蕎麦も喰ってみたが、まだ時間あるね。さらにいつもやっていそうでいないことをしてみることにした。遠路はるばる小田急&相鉄交わる大和駅へ。おお、地元。ガキの頃に米兵相手のディスコなんぞに出入りしていたエリアである。ここらあたりは微妙に陋巷趣味なムードが残存する。その残存物件のひとつ、焼鳥の[鳥清]へ。ガードに近い、お洒落とか洗練とかに一番遠い、どうにもならない建物。なにせ2階はストリップ劇場ときたもんだ。
中は空調あるとはいえ入口は開けっ放し。入れば、おっとこれは落ち着くなあ、汚くて(笑)。ずばり大衆食堂。喉の渇きにまずレモンサワー367円。この店、値付けがいいんだ。生中493円、トマト263円、らっきょう157円。いいねえ(笑)。串は一本=105円。これはキリがいい。レバ、タン、タン元、ししとう、このあたりで黒ホッピー。ホッピー1本で中身3回まわし。ワタシはこれが基本です。
煙もうもうと街路に流れ出す。お客さんはほとんどつげ忠男の漫画の登場人物のようだ。ないしは石井隆。ワタシは何故か頭の中でCKBのニュウアルバムの「デトロイト音頭」がループ。小声で歌う。カウンターで壁を眺めていたら、お店を紹介した記事の年月に燻されたキリヌキが貼ってある。島本慶センパイがレポートしてる。小屋の一階でホッピー。似合いすぎですね、なめだるま親方(笑)。
70年代末から80年代頭に覚えた呑み歩きの悪癖。それは例えば雑誌「ガロ」や「宝島」や「写真時代」の記憶と一緒になっている。新宿や高田馬場や高円寺や下北沢の情景とごちゃまぜになっている。
ホッピーのグラスの中で、氷から上った白い蒸気がゆらゆら踊っている。どんだけ湿気。こういう日はグラスもよく汗をかく。手元が濡れる。それを拭く。呑む。つまむ。呑む。拭く。呑む。つまむ。ループしてますよ〜。最終コーナーでウーロンハイ367円。
大和ですっかり酔狂に火がついたので、隣の駅の鶴間に移動。高校生の頃に行った幻の一軒家ディスコ[SILVER SWAN]の痕跡を探してみたけどあるわけがない。20年以上前に閉店してるっての(笑)。そこでワタシは生まれて初めてDJなるものを見て、12インチ盤なるものに驚き、JBだとこう踊るのか、うわチクークタイムってこんななのかフムフムとか思っていたのである。ああ懐かしい。さらに記憶を頼りに路地を徘徊。なんとアングラ(?)ライヴハウス[菩南座]の前に出た。20年ぶりぐらいで。酔漢の帰巣本能(笑)。いやあそれにしても遠回りしてきました。いろんな意味で。ただし本日はすでに閉店。店の中には薄く灯りが点いている。
ここは82年ぐらいに講談社の戸塚さんに連れてこられた店。その後、ワタシは「ViVi」の編集にもかかわっておりました関係上。キミがViViを(笑)。山口智子さんが専属モデルだった頃。その80年代当時から怪しい風体だった[菩南座]のマスターが、開け放した扉の中でパソコン打ってました。さすがに声はかけられず。なんだか閉店後だったことにホッとした。
肩にかけたワタシのバッグの中には、読みかけの談志家元の著書、Yahoo!オークションで買った林家三平さんのCD、ポケミス4冊、コンビニで買った週刊ベースボールマガジン創刊50周年記念のMOOK(DVD付き)。それをサンフランシスコで買ったCity Lights Bookstoreのバッグに詰め込んで、鶴間あたりで立ち止まる。
書いてみたら長かった(笑)。穴があったら入りたい。ミステリ、蕎麦、焼鳥、SOULかJAZZ、落語、穴映画、古本、漫画、野球、ホッピー、あと珈琲と煙草。だいたいこれぐらいをループしていればいいらしいのである。探してみた結果である。
あ、わかっちゃいるけどやめられない、ときたもんだあ。