誰も寝てはならぬ(口パク)


 なぜなら明日は朝8時からJ-WAVE Radio DONUTSを聴いてもらうからです。寝てはいけない。徹夜しないと聴けないのかよ(笑)。ワタシの周囲では「朝早くて聴けない」っていうギョーカイ人多数なんですよ。とほほい。


 パヴァロッティ・フォーエヴァー


 口パクはいけないことなのか、ということなのである。ワタシのようにゲージュツではなくゲーノウの方により慣れ親しんだ者にとってはね、ま、そういうこともあるじゃん、とか思ってしまうから、性根が安っぽい。


 なにしろ出自であるところの昔の歌謡番組、バラエティ番組内歌のコーナーなんて、がんがん口パクでしたから。つまりはテレヴィ芸能、なのであります。オリンピックも「テレビ番組」なのであります。

 それで言いますと、現在の「ナマ歌」主流の音楽番組では、逆に「カラオケ+演奏パク+ナマ歌」という方便もある。バンドは実際には音がオンエアされてないのに弾いてるフリ。あれはバックバンドの人がなんとなく気の毒。直前に生演奏+ナマ歌で音だけ録音しておいて生放送ではそれに合わせてパクパクで、というのもあるか。ややこしいなあ(笑)。


 で、この口パク文化、別に日本がお得意というわけでもない。テレビ先進国でありますアメリカではですね、かの「SOUL TRAIN」も基本は口パクでありました。ソロシンガーなんかは当然カラオケ&口パク。バンドでもですね、けっこう演奏パクの場合も多かったんですよ。すんごい不自然なフェイドアウト多数(笑)。ダンサー連中、そこでダンスやめて拍手。ジングル。CM。ジングル。ぽっぽ〜。
 それは何故かといえば、予算がないので番組4本録りとかしてるからであります。もうね、ハジからどんどんゲストの演奏させる。4週分ったら12組ぐらいいますからね。そこでいちいちバンドのサウンドチェックなんかできるかい、なのであります。で、その演奏シーンを4週に割ってオンネアするわけですよ。


 実は、その口パクであることこそが若きソウル・ファンであったワタシの心に楔を打ち込んだ、そんなシーンがありました。そのお方はマーヴィン・ゲイさん。そうです、マーヴィンといえども口パクだったのです。さすががーさすドン・コーネリアス。その一件をかつて「Black Music Review」に書いた原稿から抜粋。

 (前略)
 スタジオでのライヴ歌唱シーンでのこと。バラード(今、曲名が思い出せない! これだから中年は嫌だ!)を切々と歌うマーヴィン(ニットキャップ時代)。まわりを取り囲んだ女性ダンサーたちのうっとりしっとり潤んだ瞳。す、するとマーヴィンさんたら、その中のひとりの女性に近づいて、いきなり“君のために歌うぜモード”に突入、そりゃもう最高の切々を距離にして40センチぐらいのところで歌う歌う(ただしクチパク)。歌われた女性はもう失神寸前だ〜。
 (中略)
 最高のアーティストでありながら、立派にタレントでもあり続ける。これぞ芸能道の凄さであります。

(初出:「Black Music Review」2001年4月頃)

 突然、女性に向かって歌い出すマーヴィン。ハグはする、軽いキスはする(たぶん)といった調子なもんだから、どんどんズレるんですよ、口パクが。バレヅラならぬバレパク。がしかし、マーヴィン、そんなことに動ぜず。スタジオとテレビの前のファンへのサーヴィスを忘れず。いやあ、あれは素晴らしい芸能道の佳景でありました。

 そんな口パク上等な「SOUL TRAIN」の収録でも「完全生演奏」が許されていたのは、ジェームス・ブラウンアレサ・フランクリン。彼らは別格だったのであります。リハしても良かったのであります。KING & QUEEN。キンクイ。


 おっと、KINGといえば、出ますぞ。忌野清志郎さん、完全復活祭のDVD『完全復活祭 日本武道館』。5月28日。しかも特典としてドキュメンタリーも収録した2枚組み、の模様。おお。
 同時にソロ作品のベストも出ます。「レーベルの枠を超えて清志郎のソロ・ワークを網羅した特大盤」とbounce.com。曲目は後日発表とか。


 【明日のオレ】←B型的表現。

 はい、明日のJ-WAVE Radio DONUTSは、高野寛さんが「家の変遷」を語ってくれます。J-WAVEでお会いしましたが。ぜんぜん変わらないですなあ。そして朝イチゲストは荻野目慶子さんです。うわあ。


 ちなみに高野寛さんの紙ジャケ再発シリーズのライナーは、弊社・佐野郷子が担当させていただきました。しかも6枚。あちこちでお世話になってます。



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