おやじと呼ばれて幾星霜

代替文


 なんだか暖か仕上げな1月最終日。「いいとも」のみうらさん、般若心経の話以外は何にもしなかったねえ(笑)。しかも、タモリさんはよく知ってる話だから、お客さんへの前フリがなさすぎて笑った。「タモリ倶楽部」見ていない人には、なんでタモリさんがMJに詳しいのか、わかんないだろうなあ。明日の安斎さんも思いやられるわけですが。あ、遅刻が、じゃなくてね。ホャホャラ〜。


渡辺祐 駄文蔵出しコーナー「ねずみ穴 はやったんべえな」】


 こないだから始めてみました。駄文の蔵出し。自分で読み返してみて、呆れた原稿だけを厳選。これまた今から7年前!

 先日、山口瞳先生の著書「新東京百景」を古書店にて手に入れました。手に入れたと言っても、正確には四六判ぐらいの大きさの単行本なので、片手の中には入りません。じゃあ、両手なら入るかと言うと、それもまた難しいところです。私のように海外生活が長いと日本語は大変むずがゆい。あ、いや、むずかしい。


 その「新東京百景」の中に、貧血で倒れてズボンを汚してしまった先生が病院でズボンを取ってきてもらうくだりに「ズボンのことはズボンでやる」というフレーズを発見しました。ズボンのことはズボンでやるですよ。参りました。さすがに毎年、成人の日の朝刊にお説教エッセイを書き続けていた山口先生ならではのオヤジギャグであります。ベッドに入ってお尻を掻きながら読んでいた私は、思わずベッドに座り直してもう一度拝読すると同時に、もう一度お尻を掻き直したのは言うまでもないでしょう。


 私の知り合いに佐藤克之という分泌家、あ、いや文筆家がおります。私が彼の変臭担当、あ、いや、編集担当をしていた頃、何を勘違いしたか、その彼が亀戸のアパートで一人暮らしを始めたことがあります。その時の彼が言うには「タスクさん、原宿とか代官山とか六本木とか古いです。これからは東方向ですよ。若者には亀戸がキテます。だから、これからはカメイドじゃなくてキャメイドゥと呼んでください」ということでした。その後、もう10年以上たってますが、亀戸が来た、という話も、キャメイドゥと呼ばれているという話も聞いたことがありません。


 ま、私も、ほほう、亀戸がキャメイドゥなら、錦糸町はキンシータウンですな、じゃ、王子なんかOG(オージー)で、それじゃまるで昔のポン女の卒業生みたいじゃないか、とか思っていたので生姜ありません。そのショウガじゃないよ。つっこみありがとうございます。ありがとうなら芋虫ハタチ。ハタチまで芋虫じゃあ、そいつがサナギになるのは30歳ぐらいですか。蝶に孵化する頃には年金生活ですね。


 そう言えば、私は吉野家の朝定食がわりかし好きなんですが、そのメニューに納豆定食というのがありますね。これを注文するとお店の符丁で「はい、カウンター、B定入ります!」と大声で叫ばれる。最初それが「BT入ります!」に聞こえて、「え、バクチク?」と思わずほっぺたに字を書いたり、髪の毛を無理矢理逆立てたりしてしまったのは私だけではないでしょう。だいたい自分の頼んだものが「B」であるというのが気に入らないじゃないか。朝飯とはいえ「A」でありたいじゃないか、佐藤B作さんには悪いけれど。だいたい佐藤A作さんのことを、もう誰も知らないぞ。NHK以外のカメラは出ていきなさい!


 そこで提案なんですが、吉野家さんは佐藤克之にならって、これから納豆定食のことは「ナッティー」と呼ぶといいと思います。「ナッティー一丁です!」。これでキマリでしょう。で、お客さんに出す時は「はい、ナッティーのお客さんはドレッド?」。お客さんは「お、ナッティーは俺にプロフェッサー!」と答えます。


 こんな感じで40年が過ぎました。


(初出:2000年6月@J-WAVE e-STATION TASKBAR WEBコラム)