百人のナポ食う音や3連休


 それを言うなら「百人の蕎麦食う音や大晦日」。ええ、落語の方に「そば清」というお噺がございます。蕎麦を何枚食えるかという賭けで欲をかいた蕎麦っ食いの清兵衛さんが、勝負をしたが、さすがに食えない、そこで山中で見つけた別名「蛇含草」と呼ばれるうわばみのなめていた消化剤のような草を食ったら……という例のアレ。SFのショートショートのような味わいのオチであります。

代替文

 渋谷の街を空腹で流していたら、どでかい「ナポリタン」の文字が飛び込んでまいりまして。最近出来たらしいスパゲティ専門店。入り口の看板には「ナポリタンはうまいぜと言わせたい!」なんて派手派手な煽り文句。おっと、どうすべ、この挑戦的な態度に乗るべきか乗らざるべきか。今夜キミに乗れないなんて。

 乗ってみました。ワタシは「並盛」でいいだろうと、メニューにあるグラム数表示もろくに見ずに……っていうか食券なのでテキトーに決めましたところ、これがまあこってり山盛り。ああた、多いの少ないのって多いの。あらまあ小盛にすればよかったわ、おばちゃま。しかも、このお店と来たら、その先に大盛り(600g)があるかと思えば、ナポリタン兄貴(900g)→ナポリタン番長(1,200g)→ナポリタン星人(1,500g)なるメニューまであるのであるのである。さらに目玉焼きやらハンバーグやらベーコンのトッピングまで。

 莫迦か、この店は(笑)。あ、すいません、ホメ言葉です。

 ええ、そんなわけで、ナポリタンの清兵衛さん、縮めてナポ清さん。これ以上食えないという段で、ちょっと待っていてくんなとふすまの向こうで何やら薬を取り出して飲み込んだ。おいおい、そんなの飲んでももう遅いよと、ふすまを開けてみたら、ナポリタンが羽織を着て座ってた。おなじみ「ナポ清」の一席でございました。

 ちなみに味はまあまあです。いや、味より量に気を取られてよくわからないと言った方がいいかもしれませんな。店内はビミョーな昭和テイスト。全体として「ここは東京にある地方都市だな」という感慨を覚えたとお伝えしておきましょう。



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