色即是空かあ……だとすればですよ

　「くうアリ」なのかもしれないわけですよ。「空あり」。おお、「くう」と読むだけで禅問答みたいでかっこいい。「駐車場とは？」「其処に即ち空在り」「では空とは？」「アッカンベエ」。

　

　昼にお世話になっているデザイナーさんを訪ねて打合せ。終わって出れば、ちょうど遅めのお昼時。そのデザイン事務所のそばにあるお蕎麦屋さんへと足が向く。ここがですね、それはもう絵に描いたような町内の普通のお蕎麦屋さんなのだが、そこがいいのだ。なにせ名前が［長寿庵］。サザエさんに出てきそうだもの。

　入ると数人の、男たちの、お客さん。みんな店に置いてあるスポーツ新聞を読んでいるもんだから、店中のそここに「山内一弘 死去」の文字である。店内全席喫煙。座るか座らないかで迷わずカレー南蛮。蕎麦で。いちおう蕎麦好きとしてはね、そりゃあ邪道であります。でも、んまいんだからいいじゃん。ここんチのはあんがかかっていて、出汁カレーとろり系であります。

　すでに2時近いのんだけど、出前がじゃんじゃん出て行く。下げにも出て行く。バイクフル回転。いいですなあ活気があって、きゅきゅ（ビアタンから水を飲む音です）、とか思いながら、あらためてメニューを見てみて驚いた。ぎょぎょ。よくある町のお蕎麦屋さんですから中華メニューまであるんですけど、なんと「サンマーメン」があるのである。町の、蕎麦屋にサンマーメーン。おお、やるなあ、と思っていたら、あるある。何がって「冷やし中華（常備）」に「ハムカツ定食」に「もつ煮込定食」、そこまでするかの約60品目。いやあ、これはすんばらしい。中華の部の最後の方に「ヤキソバ」とある。カタカナにしたところが中華の部っぽい。お、「カツカレーライス」っていうのと「カツカレー丼」っていうのもあるぞ。どう違うんだああああ。

　ここはもうお蕎麦屋さんではなく、町の食堂なのであった。

　出前の電話がりんりん鳴っている。「○○○さんで、おおたぬきをうどんでねぎぬきでーす」。おお……たぬき。しかも、葱は入れないのか。うどんと天かすですな、そりゃ。どんだけ小麦粉好きなんだろうねえ。ガラリと戸が開いて、緑の腕章をした、恐らく測量関係と思われる二人組の若いお兄さん来店。ナッパ服だけど髪の毛はアンシンメトリだ。「えっと、オレは玉子丼」「あ、オレはちからうどん、大盛りで」「はーい、たまどんにおおちからぁ」。……おおちから。さすがにアウトドアなお仕事の方が食するものは、迫力が違うな。高級店での会話を聞くよりもこういう時にこそ、食べるということの、カラダを満たすと共にココロを満たしている、その何だか人間臭い仕業を感じたりするのである。

　あ、カレー南蛮きた。ずずずずず。ず。ずずずずう。んまい。豚バラとタマネギ。無駄がない。しかしまあ、なんだな、生涯で何杯カレー南蛮喰ったかねえ、ずずずずずずずず（完食）。あ、レンゲ使ってないや。ヒゲからカレー臭。ふと周りを見渡せば、数人いたお客さんもいつの間にか減っている。大狸も大チカラも無事誰かの胃袋と精神に収まったようだ。店員さんが回収したスポーツ新聞が大テーブルに綺麗に並べ直されて、「山内一弘 死去」の文字も、なんだかフォント見本のように並んでいる。そんな午後です。山内さんには申し訳ないが、ワタシには、その光景さえもちょっとばかり午後の時間を長く感じさせてくれた。哀悼。満腹。ごちそうさまでした。

　

　その足で［Grand Gallery］にお取り置きしていた「電撃フリント」のポスターを取りに行ったら、井出さん自身が店番していて和みました。「Funk Inc.」のTシャツも購入。Tシャツ着ないんだけどね、ワタシ（笑）。

【明日の（うわ、もうすぐじゃん！）のJ-WAVE Radio DONUTS！】
メールのテーマは「地元自慢2009」であります！自慢しちゃって！
METROPOLITAN Cafe´にはケンタロウ さんがご来店！福山雅治さんにお弁当作ってもらって以来の再会！

COLORFUL STYLEでは、イギリス育ちMiChiさんの住まいのこだわりを紹介！おお、グローバル。

MUSIC NAVIGATION、皆さんからの音楽の素朴なギモンに答えてます！可能な限り！
TOKYO TUNINGは、レミオロメンの皆さんを招いて行われた公開収録の模様を紹介！

　あ、そうそう。件の「カツカレーライス」と「カツカレー丼」ですが、お会計しながらうかがってみたところ、前者は「スープでルーを溶いたカレー」を使用、後者は「蕎麦つゆに生（き）のカレー粉を溶いたカレー」を使用、しているそうであります。くう、たまらんですな、その小さな工夫の痕跡。……と、冒頭の話に無理矢理語呂で戻ってみたりして。そうそう、蒟蒻問答。十方世界は五戒で保つ。くうぅ。あかんべえ。

【人気ブログランキングへ】