メガネ捕手よ、さらば


 わたしのうた 古田式


 出社。永田章浩カメラと撮影。「週刊朝日」原稿(来週は畠山美由紀 with ASA-CHANG & ブルーハッツさんの紹介ね)。[ビルボードライブ]フリペ原稿。その間、一足お先にクリスマス・アルバム聴きまくり。おお、もうそんな時節となりにけり。神無月。ちっとも運動してない体育の日。大安。明日は寒露


 古田選手兼任監督引退試合。行ってまいりました。よかった。「また会いましょう」のさっぱりした挨拶も、なにかと大げさなジャイアンツの選手なんかに比べてとってもスワローズ。もちろん考えてはあったとは思いますが、原稿を丸暗記してないっていいますか。自分の言葉で語れる人。
代替文



 名場面。打順発表の瞬間の。「5番・キャッ チャァ・古田・背番号ぉ 27」というあの神宮名物のウグイス嬢様の声にどよめくスタンド。5番できたかあ(嬉泣)。見回せば「27」番のユニフォームだらけだ。見回したついでに池山さんのお姿も確認。よかったなあ、クライマックス・シリーズに出てなくて。


 名場面。2回裏、古田最初の打席。入場者全員に配られた緑色に27と白抜きされたボードが球場360度に掲げられた。そう、レフトスタンドの広島カープ応援団からも、です(泣)。


 名場面。8回裏、古田の打席でピッチャー交代。やはり引退する佐々岡がマウンドに。その瞬間、ライトのスワローズ応援席に「佐々岡投手お疲れさま」と書いた横断幕が。いい、こういうところが野球ファンは素晴らしい。古田さん凡打。そして佐々岡選手に花束贈呈。スワローズ・ファンからも佐々岡コール(泣)。


 名場面。8回、9回。石井一久投手から高津投手へのリレー。まさにスワローズファンの夢のマウンド。マウンドに上がって古田さんと対面した高津さんがいきなり監督をハグ! 抱きしめたかったんだよねえ。でも、投げてからだろ、フツーは(笑)。五十嵐と石井がいないのが悔やまれる。


 名場面。引退セレモニーでメモリアル映像がヴィジョンに流れる。メガネのキャッチャー、首位打者獲得、盗塁阻止率、2,000本安打、1,000打点、日本一4回、29年ぶりのプレイング・マネージャー……と、そのヒストリーと功績を称える映像の中で、しっかりと「選手会会長としてプロ野球の改革に貢献」という内容が盛り込まれていた。コレ、球団が作った映像なのだろうか。もしそうだとすれば凄いことですよ。会社を辞める社員を「労働組合で活躍」って称えないもの。Fプロジェクトが作ったのかもしれないなあ。いずれにしても、大人としてそこにグッときたのはワタシだけだろうか。


 古田さんの言葉を綴った『古田式』(古田敦也周防正行著/太田出版刊)を再読。そこにこんな発言がある。

(どうやったら野球がうまくなるかという話に答えて)
「野球にはコツが絶対あると。野球は、打つ、投げる、走るなど、動作が多い難しいスポーツです。でも、どの動作においてもコツがある。そのコツを見つけるか、見つけないかが問題。それを猛練習の末に見つけるか、たまたま偶然見つけるか、いずれにしても、そのコツを見つけた人が早くうまくなる。」


 すべての仕事にあてはまります。たぶん。


 余談。記念すべき引退試合、いきつけのお寿司屋さんの大将(もちろん燕ファン)と行ってきたんですが、帰りに一杯やりつつ季節感の話題が出て「魚はこれからヤバイ」という話に。温暖化なのか異常気象なのか、ここのところ例年通り漁に出ても魚が捕れないことがままある。そこにガソリンの値上がりで漁師さんたちはお手上げ状態。高いガソリン使って捕れないぐらいならと、リスクを減らすために「漁に出ない」のだそうだ。「農業はまだいいですよ、品種改良とか設備とかで対策が立てられるから、天然に頼る漁業はまんま自然の変化の影響を受ける」。切実だなあ。「2万や3万円取るお寿司屋さんなら高い魚を買えばいいでしょうけど、1万円ぐらいのちょっとした高級店がヤバイんじゃないかなあ、アレもないコレもないってことになりかねない。お客さんが来ないでしょ、それじゃ」。以上、寿司部活動からのご報告でした。


 と、ここまで書いてみて、魚とプロ野球選手の人材と、似ていなくもないなあ、とふと思ふ。メジャーはいいんですよ、高い魚を買えばいいんだから。国内の球団は「天然の恵み」頼み……。崩壊するよなあ、ちょっとした高級店、というぐらいじゃ。
 あ、そうか。相撲界の新弟子っていうのも「天然」頼りなのかもなあ……。


 余談。広島のオーダーは梵(そよぎ)選手と倉選手を並べない方がいいですね。申し訳ないけどパッと見が面白くなっちゃもの(笑)。昔、スワローズに秦選手と城選手がいた時に、あと「坊田」っていう選手がいれば「はた・ぼうだ・じょー」打線だな、って言われていたのに匹敵。


 そんなこんなで、スワローズ・ファンは、18年ぶりに「古田のいないスワローズ」を見ます。来年。