和定食をもって尊しとなす
ふとサバが食べたくなった、焼き鯖。サバ塩。あ、秋刀魚でもいいか……。いや、できればサバ塩定食。とにかく焼いた魚の皮と身が食べたいのである。焼いた魚の皮と身は、たいていワタシを裏切らない。
ところが、そう思い立っても意外や近隣に旨い定食屋がない。定食屋そのものがないぞ。新宿の思い出横丁まで行くか。恵比寿[こづち]? 祝日やってる? うーん、お腹が空いてて移動がやっかい。最後の手段、つまりバックアップとしての[大戸屋]はある。ないしは[やよい軒]なのだが、やよい軒はちょっと気分がShabby気味になるので、まあ[大戸屋]。ほかはあんまり行ったことがない。そういえば以前の事務所のヨコにやはりチェーンの定食屋さんがあって、そこがまあ劇的に不味かったのを思い出した。ナニを食べても不味いのよ。早晩無くなったけど(笑)。たまに焼いた魚の皮と身にも裏切られるので人生はままならん。
しかして[大戸屋]さん。「炭火焼きさば定食(700円/933kcal)」。ご飯少なめで納豆もお願いします。待つこと数分、サバ到着。サバと納豆は、まあまあ。裏切られてはいない。大皿に大根おろしと若布とひじきが乗っているのはたいへんけっこう。ただし、ひじきは美味くない。味がしない。味噌汁とご飯はフツー。お店、というよりは社員食堂のような味である。
その一式が到着してきた時のこと。木のお盆を運んできた女性店員さんが、お盆を置きながら「こちら、サバ焼き定食、ご飯少なめになります」。はいはい、なりましたね、ありがとさん。と、店員さんが数歩立ち去って、こちらが箸を手に納豆の攪拌を開始せんとした、その刹那、1メートル50センチぐらいテーブルから離れた店員さんがきびすを返してこっちに向かってくる。お、なんだなんだ、と思ったら、ワタシが手にした納豆の鉢を指差してこうおっしゃいましたよ。
「そして、こちらが納豆になります。ご注文は以上でよろしいでしょうか」
思わず笑うとこだった。これが納豆だってことぐらいわかるよ(笑)、手に持ってるんだし、元来、頼んだのオレだから。
その店員さんは、テーブルを離れた瞬間に、マニュアル通りのセリフを全部言ってなかったということに気づいてしまったのである。だとしても、いちいち言いに来んでけっこうだ。
ま、いまにして思えば、おやじの余裕の臨機応変を発揮して「えー、ホントにい?」とか応えてあげるべきだったかもしれない。
あとね、ジャズがかかっていなければいいのにと思いました。もうちょっと音楽を大切に。
とまあ、とりとめもないおっさんごとを長々書いてみたりしながら、これから結婚パーティー!