灼熱の長駄文蔵出し


 スワローズが大量得点でカープに勝ったっす。いえい。ここから調子を上げたいですなあ。右肩上がりに一票を投じる。選挙もぶらりと行きましたよ。そこはオトナだ、あとはどこがオトナかしらん。いやーん。


 先日以来トリビュート盤を聴いていた、ということもあって、今日は朝から本物の方のアース・ウインド&ファイア聴くサンデー。音源にはこと欠きませんな。もうねベスト盤とかいっぱい持ってますから。紙ジャケ再発になんたらベストにリミックス。この手の大物になると無駄が多いよ、我がCDラック。
ベリー・ベスト・オブ・EW&F Soul Source EARTH.WIND&FIRE REMIXES
↑このベスト盤『ベリー・ベスト・オブ・EW&F』とRIMIX盤『Soul Source EARTH.WIND&FIRE REMIXES』があれば
ご飯3杯はいけますな。ベストは前半がお約束のノリノリ。で、中盤の「AFTER THE LOVE HAS GONE」→「SING A SONG」→「REASONS」のとこがたまらん。通向けのおかずよ。
↓あ、あとフリーソウル盤も出てますね。
フリー・ソウル・クラシック・オブ・アース・ウインド&ファイアー
フリー・ソウル・クラシック・オブ・アース・ウインド&ファイアー
 橋本徹さん、フリーソウル盤でアイズレーもやってるなあ。流石がーさす「ひとりRHINO」。これは後日チェックして書きましょう。シルクの似合う夜にでも。


 そんなこんなでスワローズも勝利したし、今日は[TOPS]で食べたカレー(仔羊)も美味しかったですからね、また駄文蔵出ししとこ。深い意味はありません。
 かつてブルース・インターアクションズさんから出ていた女性向けR&B誌(!?)「SPARKLE」に2000年に書いた原稿。モーリス・ホワイト、というかアースのネタ。長いのでちょっと切りました〜。

渡辺祐駄文蔵出し「ねずみ穴はやったんべえな」】


モーリス・ホワイト、ハゲアフロ」


 問題はである、70年代後半のあの頃に、私はアース(殺虫剤の会社じゃなくて)のことをどう思ってたんだろうか、ということである。いや、そりゃもう好きだったんですけど、その割りには、あんまりレコード買ってないし、積極的にライヴとかには行ってなかったりするんですね、これが。メンバーが空中に浮いてぐるぐる回ったりする(本当よん)、スモークがんがん焚いてる、後ろにはピラミッドどーん、みたいな、かの有名な70年代後半のライヴね。しかも、わけのわかんない宇宙人みたいな恰好。凄いことですよ、今から25年前のステージとしては。画期的ということ以外のナニモノでもありません。でも、行ってないんだよなぁ、なんかのめり込めてない。単にお金がなかったのかしらね、ワタシ。

 そんな大仕掛け大所帯ファンク・バンド、アース・ウィンド・アンド・ファイア。あの耳がキンキンするぐらいのホーン・セクションの愉悦感、流麗にして腰にもくるメロディとリズムのポップ感。ああ、踊りが踊りたい。できればカンタベリーハウス・ギリシャ館とかで。もう、薄いなんてもんじゃないぞ、この水割り、ただの水じゃないのか、オイ、みたいなディスコ特産の得体の知れないウイスキーをまた飲みたいものである。←嘘です嘘です。

 私は、大所帯バンドが好きである。文句なしだね、そのことに関しては。大所帯というだけで野猿もちょっと好きなぐらいだ。ましてやブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブと来られた日には、もう気絶するしかありません。クール&ザ・ギャングやバーケイズ(うふ!)やパーラメント一派はもちろんのこと、キッド・クレオール&ザ・ココナッツとか、プリンス&ザ・レヴォリューションとか、米米クラブとか、フライングキッズとか、ビンゴ・ボンゴとか、スカパラとか、オレ様の中ではすべて「大所帯」の棚に整理してあると言っても過言ではありません。ま、ホーン・セクションが入っているというのが基本のキなんだが(王子様は別格)。

 あ、あとスペクトラム

 早い話が大所帯独特の、あの“おにぎやかに!”という風情が好きなんでありますね。そこにいろんな異能があって、そこにいろんなキャラがある。実に素晴らしい。芸能です。派手です。モーリスはそこんところがわかってる。わかってなければ、あんな恰好はしません。このいろんなキャラがいて楽しい状態を、私は「サイボーグ009理論」と呼んでいるわけですが、この件に関しては、また別の機会にちゃんと書きましょう。先を急ぐんで、すいません。

 で、アース(由美かおるの看板の、ではなくて。←しつこいよ)なんですが、1996年の来日時に本誌のお兄さん(お父さんか?)雑誌である「ブラック・ミュージック・リヴュー」で凄い企画にモーリス・ホワイトさんを含むメンバーが参加しております。70年代当時、ニッポンのレコード会社さんが勝手に付けてたアルバムの“邦題”をメンバー本人に説明して点数を付けさせたんですね。あっはっは。なにしろ、アナタ、『THAT'S THE WAY OF THE WORLD』が「暗黒への挑戦」で、『ALL'N ALL』が「太陽神」で、『RAISE!』が「天空の女神」ときたもんだ。そんな事態になってるとはコレっぽっちも思ってないメンバーに、いちいち「えーっと、これが、その、ファイティング・ザ・ダークネスってことになってるわけですが……」と説明した丸屋編集部員と通訳・渡瀬ひとみさんの勇気には脱帽するしかない。

 ちなみに、この96年10月号のBMR誌上にて、御本人たちの最高評価を受けた邦題は『GRATITUDE』の「灼熱の饗宴」でございました。だって原題は「感謝(の気持ち)」とか、そういう意味だろ。どこが灼熱で、どこが饗宴なんざんしょうか。

 最後に。私が、かつて編集した奇怪な雑誌(!?)『VOW MEGA-MIX!!?』の中に、音楽用語を川柳に詠み込む“ロックン川柳”というコーナーがあったんですが、そこで私のココロの師匠である萩原健太さんが詠んだ一句を御紹介させていただきましょう。

「せをはやみ モーリス・ホワイト ハゲアフロ」

 まるで、かつらが、こうぐっと後ろにずれたかのような、頭後ろ半分アフロヘアの佇まい。あの味を、35歳(76年当時)にして簡単に出せるもんじゃありませんと、今は思える40歳。

 どこが「せをはやみ」なのかは、ともかくとして。


(初出:2000年3月頃@SPARKLE誌)